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ガールズ&バイクス
girls & bikes

04 夢のドレス

タクヤ(メッセンジャー&自転車屋)

連載の話を一休みして、今回はファッションのお話。

ピストブーム、メッセンジャーブームとかでファッション雑誌の取材があったりして、僕も最近はファッションにうるさい。 アイテムはほぼ全部「貰い物」。自分で買うのは下着と靴下とヘルメット。 といってもサイクリストはお尻に穴がデファクト。そして右裾はめくるのが基本。 つまり下着と右の靴下のカラーには人一倍気を使っています。 コーディネートのコツは、朝起きて布団の近くにある服を着ること。 偶然性を利用したいわば神が選んだコーディネートです。

さて、そんな僕ですが最近気になっている服が…コレです。「コロンビア自転車用服」。 自転車用というよりドレス?って感じですが1895年当時の最先端スポーツファッション。 ボトム部分はスカートに見えますが二股に分かれたパンツ形状。 足首が見えるのはブーツを履く前提でしょう。 ゆったりとしたシルエットですが、時代を考えるとお腹を締め付けるコルセットと併せていたと思われます。 アメリカではこの服で公共の場に出るのは問題だったでしょうから夏でもジャケットを羽織っていた可能性が高いかと。 紺色は汗や汚れを目立たせないためでしょう。

どんな自転車に乗ってどんな景色を走っていたのでしょうか? 当時のセーフティー自転車は高級品。イギリスに憧れるアメリカ東部の上流階級に属する女性だったのでは。 何歳ぐらい? ニューウーマンを気取る20代かな。興味と疑問は尽きません。

この連載で19世紀の女性の服飾史を調べていてこの服の存在を知りました。そしてなんとこの服は京都にあるんです。 僕の住んでいるところから自転車で10分の所にある京都服飾文化研究財団。 そして同じビルにメッセンジャーの仕事で普段からお荷物を運んでいるのです。 なんたる偶然。学芸員の方にお願いしてみたのですが、非常に貴重なコレクションとして保管されているそうで 展覧会の機会でもないと見ることは叶わないそうです。 まるで「フランダースの犬」のノートルダム寺院のルーベンスの絵。天に召される前に一目でいいから現物を見てみたい。

機能的な服装が次世代のフォーマルとなっていくのが、ファッションの流れのベクトルである。 つまり自転車のファッションがそのうちクルはずなんじゃないかと。 「布団の周りコーディネート」が最先端モードになる日も近い!?

(本紙掲載 2009年11月27日)


ブルーマー 1895年頃
レーベル:Columbia
(京都服飾文化研究財団所蔵)