back number

ガールズ&バイクスⅡ
girls & bikes

03 軽快な操縦感こそ自転車の身上

タクヤ(メッセンジャー&自転車屋)

身長160cm未満の日本女性が美しく見える自転車を目指して始まったこの企画。 いよいよ形が見えてきた。 僕の考えていることを、ARAYAのブライアンさんに伝えたら、こんなイラストができあがってきた。 そこで、今回はちょっとテクニカルな話。 cycle(以下c) 「変速機は要らないの?」 タクヤ(以下T) 「変速機がある方がより速くより楽に走れる。ただしキチンと使えるなら、という条件つきでね。実はほとんどの入門者は変速機を正しく使えないんだよ。最近流行のピストには変速機がついてないやん?変速機が無いメリットもあるんだよ。無くてもなんとかなると気づいたのがアメリカのメッセンジャーたち。変速機はちょっとぶつけただけで壊れて、維持費もかかる。確かにスピードは遅くなってしまうけど、配達業務で問題になるほどの差は出なかった。」 c「へえ。でも、160cm未満の女子が乗れる変速機のついてない自転車って、既にあるよ」 T「その質問を待ってた!この自転車の特徴は別のところにあるんだ。それは一体感。ハンドリングに工夫をしたので操縦性がよく、最初はふらつくけど慣れれば思ったとおりに曲がってくれる。自分の身体と一体になるハンドリングを狙ってる。身長のある人たちは既にそんな感覚で自転車に乗ってるんだ」 c「それはいいかもね」 T「大きいサイズを小さく修正するというやり方ではハンドリングに無理が出る。前車輪を抱えている前脚のような部分をフォークと呼ぶんだけど、フォークって垂直ではなくて角度がついてるよね?この角度が操縦性に大きく関わってくるんだ。身長の低い人は上半身も短めだからサドルからハンドルの距離も短くしたほうがいいよね」 c「トップチューブを短くするわけね」 T「そのとおり。それに合わせて前の車輪も手前に近づけたいけど、そうするとフレームにぶつかってしまうし足にも当たる。だから前輪の位置はあまり変えられない。前輪の位置をそのままでハンドルだけを近づけるとフォークの角度が本来の設計より水平方向に倒れてしまう。するとちょっと曲がりにくい」 c「ちょっ、ちょっとややこしいな…」 T「ともかくほとんどの女性用自転車は曲がりにくいんだよ。直進安定性がよくてフラつかないというけれど、思い通りに曲がれる自転車の方が使いやすいし安全。第一、気持ちがいい。そもそも操縦性のよさと安定性はトレードオフの関係で、ちょっとフラつく自転車の方が思い通りに曲がれる」 c「車輪を小さくしたのも関係してるの?」 T「そう。自転車を小さくするのだから、それにあわせて車輪も小さくするのが自然。そういう自転車は既にあるんだけど入門者には値段が高い…。変速機がないのは価格を下げるためでもある。軽快な操縦感こそ自転車の身上。まずこの自転車でハンドリングやブレーキングを楽しみながら身につけてもらって、物足りなくなったら変速機付きの本格モデルに買い換えてもらえばいいと考えてる」

(本紙掲載 2011年12月15日)


ブライアンさんから届いたイラスト
トップチューブを短くする。が、ハンドリング特性は変えたくないので、キャスター角を寝かせてトレイルを伸ばしたくない。そのためホイールを小さくしてフロントセンターを詰める。
※イラストはCGで、写真ではありません。でも、本当にできるといいなぁ。(編集部)