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ガールズ&バイクスⅡ
girls & bikes

06 乗車姿を美しく見せるコツ

タクヤ(メッセンジャー&自転車屋)

舞踏と呼ばれるダンスを皆さんご存知でしょうか? 顔を真っ白に塗って、ちょっと奇妙な動きをする、日本で生まれたダンスです。 これは、バレエなど西欧のダンスへのアンチテーゼとして生まれたのですが、バレエが重力から解放される動きを目指しているとするなら、舞踏はより地面に近く、重力や土地にしばられた身体の動きを表現している気がします。

舞踏の歩き方の基本は、膝を曲げ、中腰でお尻をややつき出し、背筋をそらせます。 昔の日本人はかかとを上げない「すり足」で歩いていたそうで、このすり足も舞踏でよく使われます。 膝を曲げすり足で歩くと重心が低くなり、脚が短く見えて、いかにも重力に引っ張られながら一生懸命にベタリベタリと歩いている感じになります。 この歩き方を白人や黒人が練習するのを見たことがあるのですが、何か違和感があるんですね。 一つは、脚が長いので動きが大きくなりすぎて、コミカルになってしまう。 日本人だと素人でも何となく形になる。 日本人の身体の特徴をいかしたダンスだからなんでしょうね。

それに対してクラシックバレエでは、トウシューズをはいてつま先立ちをし、チュチュの丈も短めなので、脚が長く、重心が高く見えます。 宙を浮くようなバレエの動きはつま先立ちがあってのものなのでしょう。 そういえばフラメンコやタンゴを見たときも、女性ダンサーは太めで高いヒールの靴で踊っていました。 あれもつま先立ちに似た脚の姿勢にしているのでしょうか?

さてダンスの話はこのくらいにして、自転車の話です。 舞踏の中腰の歩き方は、ママチャリに乗っているときの脚の動きと似てると思います。 やっぱりママチャリは日本人の身体に合わせた日本的な乗り物なのでしょう。

スポーツ車はサドルを高くするので、どこかバレエと似ています。 走っている姿は浮遊感があって空を飛んでいるようですし、止まって片足のつま先だけを地面に着けたときは、すらっと伸びた脚がバレエでいう「ドゥミ・ポアント」の立ちポーズみたい。 重力から解放されたような軽やかさがあるのです。

もちろん、どちらが美しいかというのは比べるものではありません。 「美」は主観的なものだから、人によってとらえ方が違うからです。 ただ、少なくともスポーツ車をママチャリのように乗るのは美しくない。 ちょっと近所のコンビニまでとか、通勤通学とかでスポーツ車をママチャリと同じ目的で使うのは構わないのですが、サドルをベターッと下げてフラフラ走るのが美しいとは思えません。

最後に脚を美しく見せるちょっとしたコツを。 ほとんどの人がペダルを土踏まずで踏んでいて、さらに女性ではかかとが下がっていることが多いのですが、美しいものではありません。 ましてや、ヒールのある靴でかかと下がり、土踏まずでペダリングなんて乗り方は滑稽です。 ヒールをはいておきながら、わざわざ自分の脚を醜く見せる乗り方をするなんて矛盾していませんか?

ペダルは「土踏まずの前でとらえる」のが正解。 そして足首は直角、かかとは下げない。 もちろんサドルは無理のない程度に高く上げる。 これだけのことで脚がずいぶんキレイに見えると思います。

(本紙掲載 2012年9月20日)


立ち姿を美しく見せるコツ
止まって足を地面につけるときは、バレリーナみたいに足を伸ばして。

脚を美しく見せるコツ
ペダルは「土踏まずの前」でとらえる。足首は直角、かかとは下げない。