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Autumn2025

no.67

WEB掲載日

2026年1月27日

AI×自転車で新開発! シマノの最新技術が叶える 充電不要の“オートマ変速” SHIMANO「Q’AUTO」〈前編〉

cycle編集部のマミとオスギがQ’AUTO搭載のクロスバイクを試乗! ほど良く起伏のあるお散歩サイクリングルートで、AI学習機能をもつQʼAUTOの実力を体感してみた。よく知る道でのサイクリングが新鮮に!?

スポーツバイクの変速って難しくて、ちょっとめんどくさい。クルマのオートマチック車みたいに、自動で変速してくれたらいいのに……。そんな悩みを解決してくれそうな世界初の自動変速機能「QʼAUTO」が2025年秋、新登場!難しいメカニズムを理解しなくてもAI任せでスムーズに走れる変速ってどんな仕組み?ビギナーこそ味方に付けたい「自動変速」の開発秘話を、シマノ本社で聞いてみた。

Eバイクとは違う!? 自動変速って何だろう

「ついに、スポーツバイクがオートマ変速になる時代が来る!」。驚きとともに届いたのは、自転車のギアやブレーキなどを手掛ける世界的メーカー・シマノからのニュース。スポーツバイク用の自動変速システムを新発売するという。しかもAI搭載で、乗り手の好みやクセを自動で学習し、最適なギアに変速するというのだからびっくり!

気になる新機能「Q’AUTO(クオート)」の真相を探るため、cycle編集部は大阪府堺市にあるシマノ本社へ。前編・後編に分けて、レポートをお届けする。〈前編〉では、最新変速システムの開発秘話を伺った。


大阪・堺市のシマノ本社で開発秘話を教えてくださったバイシクルコンポーネンツ事業部宣伝企画部の枝村拓哉さん。Q’AUTOを搭載したMYグラベルバイクと共に。

まずは変速機について、簡単におさらい。ハンドル周りに付いているカチカチ操作するパーツ―そう、スポーツバイクに乗り始めた時、最初に戸惑うことが多い“あの”パーツが変速機だ。こぎ出しは? 止まる時は? 使い慣れるまでは覚えることが多く、「変速って、苦手」「面倒だから変速しなくていいや」となった経験をもつ人もいるのでは。

「実際、変速機が付いた自転車に乗っているのに、変速機能をちゃんと使えていないケースって多いんですよ」。そう話してくれたのは、Q’AUTOをはじめとする商品の新規企画に携わるシマノバイシクルコンポーネンツ事業部の枝村拓哉さん。

「ずっと『1』の変速で乗っていました、とか、良くあるんですよ。そのようなお声を聞くと、われわれは変速機を手掛ける企業として、何とかしたいわけです。『変速機能を正しく便利に使っていただけるように』という企業努力ももちろんありますが、『変速を意識しなくても楽しく乗っていただけるように』ということで開発を進めたのが、今回実現した自動変速システムです」。

Q’AUTO自動変速システムの図解。ハブに搭載したAI学習機能をもつソフトウェアが、適切なギアを学習して変速する。

クルマの変速でもマニュアル車とオートマ車があるように、「マニュアル運転できるテクニックが前提になると、その乗り物は“みんなのもの”ではなくなってしまう。変速をオートマ(自動)にすることで、みんなの乗り物になると思いますし、テクニックに関係なく誰もが走る楽しさを味わえるんじゃないでしょうか」と枝村さんは言う。

ところで、「走りを楽にする」という点で自動変速と電動アシストの大きな違いは? 枝村さんに質問してみると、「電気の力で走りそのものを助ける技術が電動アシストだとしたら、乗る人の脚力に合った変速で楽に走るためのものが自動変速、です」と語る。

ビギナーこそ自動変速で「ラク」しよう

「乗る人の脚力に合った変速」とは、一体どういうことなのだろう? 一般的にスピードが上がるとペダルが空回りしないようにより重たいギアへ、スピードが下がると軽いギアへ切り替えるけれど、Q’AUTOの自動変速ではその「ギアの切り替え」をAIが担当。ペダルの回転数と速度、傾斜度の3つをセンサーで検知し、自然なタイミングで1段ずつスムーズに切り替わる。乗り手は、ペダルとブレーキに集中すれば良い。

つまり、ビギナーは変速操作を覚えなくても、最初から「自転車に乗る楽しさ」に全集中できる。そして、「変速のタイミングをミスった~!」と重いギアでペダルを踏んで泣きたくなる場面も減っていく――。スポーツバイク初心者にとっては、良いこと尽くし!

Q’AUTOの“心臓部”、ハブ内部に設置されたAIシステム。

「一番のメリットは、適したギアでペダルをこぐと、無理なく楽に走れることですね」と枝村さん。Q’AUTO搭載車の試乗体験でも、『坂道で立ちこぎしなかった』『押し歩きていた坂道を自力で上れた』という声が多数あがったそうで、

「適したギアで走ると、電動アシストに頼らなくても、自分の脚力だけで坂をクリアできる。正しい変速は乗る人のもつ力を引き出して、もっと楽しい景色を見せてくれます。その“感動”は、自転車で走る喜びそのものだと思うんです」と枝村さんは語る。

もちろん電動アシストEバイクにも快適さや利便性がある。Q’AUTOが目指すのは“アシストされる快適さ”ではなく、“自分の力で走ることを楽しむ快適さ”なのだ。

「実は、シマノは1960年代から自動変速の技術開発に取り組んできました。しかも、プロ選手向けではなく、日常の移動や街乗りを楽しむ一般の方に向けた商品を目標にしていたので、今回完成したQ’AUTOは、まさに集大成。クロスバイクやロード、MTBなど車種を問わず利用いただける世界初の自動変速になりました」と枝村さんは“自信作”に太鼓判を押す。

次号、cycle no.68掲載の〈後編〉では編集部の定番散策コースでたっぷり試乗して、レポートをお届けする。お楽しみに!

完成車も新登場! Q’AUTO搭載の「SHIMANO CUES」コンポーネンツ


「NESTO AUTOMATE」(写真)ほかQʼAUTOを搭載した完成車は、そのラインアップを続々と拡大中!

AIオートマチック変速システム「Q’AUTO」は、革新的なバイクコンポーネンツ「SHIMANO CUES」シリーズのフリーハブFH-U6060に搭載の新機能。ストレスフリーな自動変速は、スポーツバイク初心者におすすめ。クロスバイクやEバイクなどの街乗りから、スポーティな乗り味を求めるグラベル、MTB、ロード、そしてカーゴバイクまで幅広い自転車スタイルに対応できるのも魅力だ。2025年11月には、Q’AUTO搭載のスマートなクロスバイク「NESTO AUTOMATE」が登場するほか、ミニベロやロードバイクも順次発売! 最新モデルの詳細は専用サイトで。
bike.shimano.com

text & photo by 杉谷紗香(cycle編集部)
紙面掲載日:2025年10月31日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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