特集

Spring2022

no.53

WEB掲載日

2022年5月30日

春のおしゃれは足元から! サイクリングにぴったりな靴下を選ぼう 特集「靴下と自転車」インタビュー 靴下選びの基礎知識
春のおしゃれは足元から! サイクリングにぴったりな靴下を選ぼう

気分一新したくなる春は、足元からチェンジ!新しいアイテムに挑戦しやすい「靴下」から毎日の自転車生活を、もっと心地良くしてみよう。靴下に注目したこの特集では、靴下の選び方や洗い方、お直しの方法まで基礎知識をご紹介。

気分一新したくなる春は、足元からチェンジ!
新しいアイテムに挑戦しやすい「靴下」から毎日の自転車生活を、もっと心地良くしてみよう。
靴下に注目したこの特集では、靴下の選び方や洗い方、お直しの方法まで基礎知識をご紹介。

socks interview for cyclist

靴下選びの最初の一歩は「自分の足を知る」こと

サイクリングがもっと楽しくなる靴下の選び方を学ぶためのインタビュー。お話を伺うのは「タビオ奈良株式会社」で靴下の研究開発に携わり、自転車乗りでもある田中宏さん。ほぼ毎日ジテツウしている田中さんに靴下選びの基礎知識を教わった。
cycle編集部(以下c) きょうは、靴下選びの基礎知識を教わりにきました。まず始めに知っておいたほうが良いことはありますか?
田中宏さん(以下t) まず大切なのは「自分の足を知ること」。自分の足やシューズの特徴が、靴下との組み合わせに大きく影響します。汗をかきやすい、しめつけが苦手、肌荒れしやすいなど、みなさんいろんな特徴や悩みをもっていると思います。そういった悩みに合わせて靴下を探していくと、最適な一足が見つかりやすいですよ。ここからは靴下選びのキーワードを2つ、覚えましょう。

心地良さのキーワードは「ムレ対策」

t 1つ目のキーワードは「ムレ」。これには靴下に使われる糸の素材が関係します。シューズの中のムレを軽減できると快適さがアップしますし、ニオイの元になる雑菌の増殖も抑えられます。足に汗をかきやすい人は特に、ムレ対策ができる素材がおすすめです。
c ムレ対策に適した素材は何でしょう?
t さまざまな素材がありますが、「吸水速乾性」と「吸湿性」という、繊維がもつ機能で大きく分けて考えるとわかりやすいですよ。「吸水速乾性」をもつ素材は、汗など液体の水分を吸い上げる繊維構造を人工的に作っています。肌面の汗を吸い上げることで、空気にふれる表面積を増やして乾きやすくするとともに、汗によるベタつきを防ぎます。糸を加工するため化学繊維に多く、強度があって軽いポリエステルがよく使われます。

一方、「吸湿性」をもつ素材は、気体中の水分(湿気)を吸いあげる特性が糸そのものにあります。天然繊維に多いです。天然繊維は糸で吸収できる分しか水分を吸えないので、足に汗をよくかく方は、両方の特性をあわせもつ靴下を探すのが良いですね。

高い「フィット感」で快適ペダリング

t 2つ目のキーワードは「フィット感」。履いたときのしめつけ感と、ペダルをこぐときのダイレクト感に関わるポイントです。適したフィット感の靴下を履くと、足と靴下の間、靴下と靴の間がすべらず、足の力がしっかり伝わってペダリングが快適になりますよ。
c なるほど! 足、靴、靴下の3つがすべらないことがフィット感のために大事、と。
t その通り。靴下の製品開発では、生地の編み方や厚み、履き口の構造などでフィット感を調整します。一般的に、生地の厚みが薄い方がフィット感は高まります。また、履き口をくるぶしで固定するサポートを入れてパフォーマンス性を高めた商品もあります。
c 靴下の丈はフィット感に関係しますか?

t くるぶし丈よりも長い靴下が一般的ですが、短い丈の方がフィット感は高く、僕自身はライド向きだと感じています。ただ、どういった道を走るかにもよりますね。オフロードを走るなら丈が長い靴下を履いて、砂利や石から足元を保護した方が良いですし。どんなライドをするかで最適な丈は変わります。

「つま先」の形は機能と縫い方に注目

c 最後につま先の形の違いについて解説をお願いします。選び方のポイントは?
t つま先の形は、「機能面」と「着脱のしやすさ」を天秤にかけて、好みで選んでもらうのが一番だと思います。五本指のものや足袋型は、丸型と比べると指がバラバラに動きやすく、ペダリング時に力を入れやすい。また、肌にふれる生地の面積が丸型より広くてムレ対策になり、速乾性も高いですから、汗をかきやすい方向き。ただ、足の指の数だけ着脱時や洗濯時に手間がかかりますね。
c 丸型を選ぶときのポイントは?

t 丸型は「つま先の縫製がフラット」なものがおすすめ。つま先部分の縫合方法には、甲側に縫いしろができる「ロッソ」と、縫いしろができない「リンキング」の2種類があります。自転車に乗るときは引き足を使うので、つま先の甲側に縫いしろがあると邪魔なんです。商品説明に「つま先フラット」などと書かれている靴下を選んでみてください。

c 足の形、指の形、好きな靴、どれもが人それぞれで、靴下の開発は奥深いんですね。
t そうなんです。この取材を機に、タビオでも自転車専用靴下を考えてみたいです。靴下は、その日の気分で好きに選んで良いと思うし、履き方のルールは自由であってほしいですから。いろいろな靴下を試して、自分に合うベストな一足を見つけてくださいね!
text by 杉谷紗香(編集部)
紙面掲載日:2022年4月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
関連記事