浮かべ! 新聞紙の船 「じてんしゃにのるひとまねこざる」
土曜の朝、テレビから流れる楽しげな太鼓のリズムと、このワクワクする歌詞で始まる『おさるのジョージ』(NHK教育、土曜朝8:35~放送)は、アフリカからやってきた、何でも知りたがりやのこざる「ジョージ」が主人公の子ども向けアニメ。彼が繰り広げる“冒険”を通して、好奇心を持ち続けることや、科学的に考えることの大切さを教えてくれる。そんなジョージの物語を観た週末は、子どもだけでなく大人の好奇心も、いつもより活発に発揮できるような気がする。
今回表紙で紹介するのは、アニメの原作となった絵本シリーズの3作目『じてんしゃにのるひとまねこざる』から、ジョージが船の折り紙を川に浮かべて遊ぶシーン。一緒に暮らす黄色い帽子のおじさんからプレゼントしてもらった青い自転車で遊びに出かけたジョージは、ひょんなことから新聞配達を頼まれるが、配るはずの新聞を全部折って船にしてしまう。大人から見ると、なんてことを!と青ざめてしまいそうだけれど、ジョージの場合はこの船がきっかけとなって、予期せぬおもしろい方向へと物語が展開していく。
こんな調子で、ジョージの物語には、いたずらや失敗がつきもの。それでも、いつもジョージはニコニコと楽しそう。失敗しても、怒られても、また新しいことに挑戦する。その繰り返しこそが「学びの本質」なのだと、ジョージの笑顔を見るたびに気付かされる。何が正解で、何が失敗かなんて、誰にもわからないから、彼の挑戦にみんなワクワクできるのだ。
さて。皆さんは好奇心、足りてる? もし好奇心が満たされてないと感じるなら、試しに、絵本のジョージと同じように新聞で船を折ってみよう。紙一枚で、どこでも遊べる折り紙は、好きなだけやり直せるし、トライ&エラーを繰返すことができるのもイイ。そして、完成したときに感じる「できた!」という達成感は、何度味わってもうれしいものだから。目の前にある一枚の紙から自分の手でカタチを生み出す喜びは万国共通。Get Curious!
『じてんしゃにのるひとまねこざる』
H.A.レイ作・絵/光吉夏弥訳880円税込(岩波書店)
好奇心旺盛なこざるの「じょーじ」が活躍するおなじみの物語。自転車好きの絵本作家、レイ夫妻による人気シリーズの3作目で、1952年に発表された(日本語版は1954年刊)。作中で新聞配達を手伝うじょーじが、思いついて折った「ふね」をヒントに、今号(no.53)の連載「自転車でやってみた!」では編集部も折り紙に挑戦!
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紙面掲載日:2022年4月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です