[コラム] 日本のメッセンジャー史をあらわす「2着のウェア」 メッセンジャーの仕事の魅力、特集で伝わったかな? 体力と知力を駆使する姿がカッコイイ一方で、独自のカルチャーも魅力。ちょっとアウトローでストリートカルチャーのイメージがあるけれど、実は、仲間を想いやる心がとても強いとか。このコラムでは、横浜のメッセンジャー会社・Courio-Cityの代表で、日本のメッセンジャーカルチャーを古くから知る柳川健一さんに取材。歴史を振り返り、「2着のウェア」にまつわるエピソードを語ってもらった。
日本のメッセンジャー史の中でも、全国のメッセンジャーが一致団結したできごとがあるという。それが、「アメリカ同時多発テロ事件」と「東日本大震災」。未曽有の惨事で苦しむ人のために「2着のウェア」が作られた。
2001年9月11日
事件後も長く混乱が続いたNYでは、現地のメッセンジャーが苦境に陥りました。そんな彼らを救おうと、世界中のメッセンジャーが団結して寄付を募ることになったんです。日本では、賛同するメッセンジャー会社によって、自転車関連展示会への合同ブース出展、チャリティーイベントの実施、各メッセンジャー会社のロゴ入りTシャツの販売などで寄付金を集め、NYへ送りました。
2011年3月11日
会社の垣根を越えて有志を募り、『MSGRSCRUM』というメッセンジャーによるボランティアチームを結成。毎回10~20名の仲間とともに被災地へ行って、さまざまな作業に従事しました。そのほか、募金を集めて被災地へデリバリーする活動も続けましたね。
「CMWC 2023 Yokohama」は、東日本大震災から10年後の2021年に開催予定だったが、コロナ禍により延期。今年ようやく開催を迎える。実現に向けて全国のメッセンジャーが世代を超えて団結し、イベントには世界中のメッセンジャーも集結。新型コロナウイルスの脅威をくぐり抜けた、メッセンジャーの想いが一つになるビッグイベントで、きっと“3着目”のウェアが生まれるのだろう。
紙面掲載日:2023年7月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です