レポート

Winter2024

no.60

WEB掲載日

2024年2月26日

“暮らし”が中心にある自転車都市から学ぶ 『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた―人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン』刊行記念トークイベント

2023年11月24日(金) at 福岡市内

コロナ禍を経て、「自転車都市」を目指す動きが世界各地で加速している。クルマ中心から脱却して、「人」中心へと転換していこうという大きな流れの中で、自転車で暮らしやすい街を作るためにどんな取り組みが行われているのだろう? そんな疑問を、世界の自転車都市や日本の事例をあげて解説する待望の書籍が、2023年11月に刊行された。
 

『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた―人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン』
クルマより人が中心の交通への回帰と、持続可能な社会のために。世界の先進・新興自転車都市で進む「おのずと自転車が選ばれる」まちづくりを、ニーズ、デザイン、都市戦略から解説し、自転車×まちの未来を展望。設計カタログも収録。
宮田浩介編著/小畑和香子・南村多津恵・早川洋平著
2,640円税込(学芸出版社) www.gakugei-pub.jp


『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた―人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン』はデンマーク、オランダ、北米、イギリス、フランス、ドイツの各事例を「ニーズ」「デザイン」「都市戦略」の3本柱で解説する内容だ。クルマ社会から脱却して、自転車の復権が進んでいく様子を、20世紀から現在へ至るタイムラインとともに振り返っていく。

特に心に響いたのは、本の副題に“人と暮らしが中心”とあるように、ごく普通の自転車ユーザー向けの話題が多いことだった。そして、多くの取り組みが市民先導で行われ、民主的に「誰もが自転車に乗れる街」への変貌が起きてきた事実に、日本の街でも一市民としてできることは多い!と励まされる。

トークイベントは、2023年11月24日に九州大学芸術工学部の「デザインコモン」で開催。左から、稲村さん、小柴さん、宮田さん、安樂さん。写真:PHOTOFACTORY T2 福山哲

11月24日には福岡市内で刊行記念トークイベントが開催された。企画したのは、福岡市で自転車にやさしい都市を目指して活動する「Plat Fukuoka cycling」の安樂駿作さん。本書の編著者で「Cycling Embassy of Japan」の宮田浩介さんが登壇し、著者の一人でドイツ在住の小畑和香子さん(cycleの記事執筆でもおなじみ!)もオンラインで参加。

福岡を中心に名古屋、熊本、東京で展開するシェアサイクル「チャリチャリ」を運営するneuetの小柴大河さんや、那珂川エリアのまちづくりに取り組む、九州大学芸術工学部准教授の稲村徳洲さんらも登壇して、海外の事例と福岡の取り組みを紹介しながら福岡的な自転車都市像を探っていった。

宮田さんは、「日本って実は、世界第3位の“自転車利用大国”。本の中では、走る空間が誰にでもわかりやすくデザインされていることの重要性を解説しましたが、日本は空間デザインがまだまだ弱い。福岡は地形や道路網などの条件が良い街だから、脱・クルマ中心をがんばってほしい」とエールを送った。安樂さんは「改めて、福岡の“自転車都市”としてのポテンシャルを感じました。これからも福岡から発信していきます」と締めくくった。
text by 杉谷紗香(cycle編集部)
紙面掲載日:2024年1月19日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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