“暮らし”が中心にある自転車都市から学ぶ 『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた―人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン』刊行記念トークイベント
『世界に学ぶ自転車都市のつくりかた―人と暮らしが中心のまちとみちのデザイン』はデンマーク、オランダ、北米、イギリス、フランス、ドイツの各事例を「ニーズ」「デザイン」「都市戦略」の3本柱で解説する内容だ。クルマ社会から脱却して、自転車の復権が進んでいく様子を、20世紀から現在へ至るタイムラインとともに振り返っていく。
特に心に響いたのは、本の副題に“人と暮らしが中心”とあるように、ごく普通の自転車ユーザー向けの話題が多いことだった。そして、多くの取り組みが市民先導で行われ、民主的に「誰もが自転車に乗れる街」への変貌が起きてきた事実に、日本の街でも一市民としてできることは多い!と励まされる。
福岡を中心に名古屋、熊本、東京で展開するシェアサイクル「チャリチャリ」を運営するneuetの小柴大河さんや、那珂川エリアのまちづくりに取り組む、九州大学芸術工学部准教授の稲村徳洲さんらも登壇して、海外の事例と福岡の取り組みを紹介しながら福岡的な自転車都市像を探っていった。
宮田さんは、「日本って実は、世界第3位の“自転車利用大国”。本の中では、走る空間が誰にでもわかりやすくデザインされていることの重要性を解説しましたが、日本は空間デザインがまだまだ弱い。福岡は地形や道路網などの条件が良い街だから、脱・クルマ中心をがんばってほしい」とエールを送った。安樂さんは「改めて、福岡の“自転車都市”としてのポテンシャルを感じました。これからも福岡から発信していきます」と締めくくった。
紙面掲載日:2024年1月19日
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