サイクルスタイル no.60 ダルマ自転車で1,500km!137年の時をつなぎ同級生二人で挑む日本横断 「エリック・ナイトさん マーク・ケネディさん」 Web site: countryroadsjapan.com

「プロジェクトダルマ」って何?
「1886年、米国の冒険家トーマス・スティーブンスがペニーファージング(ダルマ自転車)で旅した、長崎から横浜までの道のりを辿るプロジェクト。約1,500kmをペニーファージングで走破します」(ナイトさん)
旅した自転車は?
「1880年代のペニーファージングを復刻した54インチ車。日本を走れるよう、ベルなども装備」(ケネディさん)
ペニーファージングでの旅の注意点は?
「勾配が19%にもなる坂も走りましたが、一番怖いのは下り。固定ペダルのため、勢いがつきすぎると暴走列車のようになって止まれないから特に注意!」(ナイトさん)
「企画のきっかけはスティーブンスの北米大陸横断の旅を、ペニーファージングで辿った人の話を聞いたこと」。そう語る米国在住のナイトさんは、1932年以前に製造されたアンティーク自転車を現代に残し、サイクリングを楽しむ国際的な団体「The Wheelmen」の元団長。
一方のケネディさんは大分県在住で、日本歴30年。ナイトさんの同級生で、学生時代から自転車仲間だ。「彼のドメスティーク(エース選手のサポート役)として、荷物の運搬や通訳を担当しました」。スティーブンスの書籍『Around the World on a Bicycle(自転車で世界一周)』を基にルートを割り出し、二人三脚ならぬ“二人四輪”で自転車旅に挑んだ。

愛知県では本紙57号で取材した、ペニーファージングを愛好する木工作家・CHAROさんとの出会いも。写真:CHARO
印象に残っていることは?「出発間もない長崎街道の風景。赤い彼岸花が咲、白鷺が飛び立つ棚田の中、道を教えてくれた老夫婦が指さすトンネルの上には新幹線が…。この風景がとても印象的でした。あと、静岡の焼津市庁舎から見た富士山にも感動!ゴールが近づいている目印でもあったので」とナイトさん。ケネディさんは、「立ち寄ったしまなみ海道景色は最高でした。偶然の出会いから横浜のトランポリン・スクールに招待されジャンプしたのも良い思い出」と笑う。
「旅が終わったのはさびしいけれど、成し遂げたことが誇り。そして、いまよりも道路事情が過酷だった時代に、約1か月で走破したスティーブンスのすごさを痛感しました」と、ナイトさんは1,500kmの旅を振り返る。
次のプロジェクトは?「この旅をドキュメンタリー映画にしたい」とナイトさん。137年の時を越え、日本を旅するダルマ自転車のロードムービー。絶対、おもしろいはず!
紙面掲載日:2024年1月19日
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