作家の名文にラーメン探訪 この春は読むサイクリング! 「編集部が気になる話題の自転車本」 まだまだステイホーム気分な皆さま、この春は本の中でサイクリングを楽しんでみては。気軽に読めて、思わずわくわくするような、自転車の魅力がたっぷり詰まった2冊をどうぞ。
明治の文豪もあの小説家も、自転車がお好き
英国で自転車の練習に悪戦苦闘する夏目漱石に、還暦を過ぎ、お下がりのロードバイクでスーパーへ買い物に行く群ようこのお母さん。中学生時代の角田光代は、自転車事故の加害者に仕立てあげられ、新美南吉が描く少年は、自転車が買ってもらえず、友達の自転車を走って追いかける…。思わずクスッと笑ってしまうようなエピソードから、ちょっと切なくなる物語まで、自転車がときに主役として、ときには大事な小道具として描かれる。
過去には憧れの乗りものだったかと思えば、「女だてらにそんなモノに乗るなんて」と言われた時代もあり、そんな自転車をめぐる価値観の変化が読み取れるのも興味深い。
どの文章も短く、気の向くままどこから読んでも楽しめる、そしていつも身近に置いておきたい、まさに自転車のようなフレンドリーな一冊。
自転車で懐かしのラーメンを探す冒険記
紙面掲載日:2021年4月23日
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