レポート

Spring2022

no.53

WEB掲載日

2022年6月29日

[エッセイ] ユルくて自由な自転車生活 ある日、編集部に届いた1冊の本『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』。速さではない自転車の楽しみ方を、ビギナーにもわかりやく紹介する内容に編集部は共感! 著者の山本修二さんに、本書で提案する考え方を語ってもらった。

text by 山本修二(ライター/サイクリスト)

体力に自信がない人に向けた選択肢としてE-バイクも紹介。著書では「ビワイチ160kmをEバイクで日帰り旅」と題して、E-バイクでのサイクリングレポートも掲載される。
 

「自転車とは、人と人をつなぐ最高のコミュニケーションツールなんだ。知らない人同士が一緒に走り、語り合って、仲間になる。ほんとハッピーな乗り物だよ」。

アメリカ・ミネソタ州にある「サーリー」というブランドの本拠地を取材した際に、開発スタッフの一人がそんな話をしていた。

ミネソタの州都ミネアポリスには、水曜の夜に街外れに集まり、都市部まで走る自由参加型のグループライドがある。途中、休んでは語り合い、また走り、ときにダービーという自転車をぶつけ合うゲームをしたり。参加者の自転車も職業もさまざま。でも走り終えたらみな友達。そんな積み重ねで、この街のサイクリストたちのローカルコミュニティが形成されたそうだ。

このブランドの本拠地を何度も訪ねるうちに、競わず自由に自転車に乗るスタイルのすばらしさに気付かされた。そして、彼らが作る丈夫で長持ちするスチール製の自転車のファンになった。

 

自転車×キャンプという楽しみ方! ギアを自転車に積んでキャンプへ向かうスタイルを提案。
 

僕の2冊目となる著書『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』は、これまで世界の自転車メーカーを訪ねて学んだ、生活に密着したスポーツ自転車の楽しみ方をまとめたもの。2015年に発行した『スポーツ自転車でまた走ろう!』をベースに、内容を大幅にリニューアルした改訂版になる。

本書では、ロードバイクとは違った楽しみ方ができるスポーツ自転車が存在することを真っ先に紹介している。そして、スチールフレームがなぜすぐれているか? フォールディングバイクやE-バイクのすすめ、荷物を積める自転車の魅力などを幅広くまとめた。

クルマの代わりに自転車を使って買い物に行けば、ガソリン代を節約できるし、身体に心地良い刺激を与えられる。それを続ければ、街の変化や四季の移ろいを感じることもできる。それに荷物が積める自転車なら、キャンプツーリングだって楽しめる。

「競わない」「時間に縛られない」「無理しない」。自由なサイクリングライフがあることを知るきっかけになればと願い本書を書いた。

気楽な自転車に乗って、気の合う仲間と走る。肩の力を抜いてユルく走りたい。なんていう人には、どうぞ読んでいただきたい。
 

『スポーツ自転車でいまこそ走ろう!』 
山本修二 著 1,650円 税込(技術評論社)

元BMXライダーであり、現在は自転車・アウトドア系ライターとして活躍する著者。本書では、自転車の選び方、走り方、ウェア選びなど、速さを競わない自由な自転車生活をあらゆる角度から提案。ビギナーの入門書にも◎。
gihyo.jp/book

紙面掲載日:2022年4月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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