こだわりの愛車で街取材へ 「フレンチ・ディスパッチ」
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舞台は20世紀フランス、編集部がある架空の街、アンニュイ・シュール・ブラゼ。記者のサゼラック(オーウェン・ウィルソン)は愛車で坂を下り、地下鉄に乗り込み、トラックにつかまって街を取材する。かつては職人の村だったアンニュイは、石造りの建物が並び、川が流れ、ポタリングにも楽しそうな街。なのに彼は、地下鉄に巣食うネズミや裏通りの街娼など、ガイドブックには載らないようなことにばかり関心を寄せるのだった。
そんなサゼラック氏は、愛車とファッションにも並々ならぬこだわりと愛着を感じさせる。朱赤のフレームに砲弾ライト、ハンドルに取材用のメモ帳が取り付けられ、バーテープと荷台のバッグは赤茶の革で統一。ウェアはベレーにニットジャージ、深緑のパンツ。はぁ、すてき。それもそのはず、衣装は『時計じかけのオレンジ』や『マリー・アントワネット』などを手がけたミレーナ・カノネロが担当し、監督が意図するフレンチのエッセンスを見事に表現している。
さて雑誌が廃刊になったサゼラック氏に、cycle紙への寄稿をおすすめしたい。“独自の視点”という部分だけなら、決して引けを取らないと思うのだが。
『フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
ディズニープラス「スター」で配信中。
『グランド・ブダペスト・ホテル』、『犬ヶ島』のウェス・アンダーソン監督が贈る、活字文化とフレンチ・カルチャーへのラブレター。
紙面掲載日:2022年7月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です