知られざる“推し”に共感! 市民目線のおすすめMAP ワークショップ「つくってつながるみんなの推しマップ」
見落としがちな景色を自転車で「再発見」
自転車マップは、初めて訪れる街をより深く知ったり、旅のプランを立てたりするのに役立つ必須アイテム。ただ、旅先で何気なく手に取ったマップをユーザー目線で見ると、「もっとこんな情報が知りたいな」と、物足りなさを感じたことがある人も多いはず。ワークショップの舞台となったのは中信地方の塩尻市、朝日村、山形村の1市2村。北に松本、東に諏訪という2つの観光地にはさまれ、観光客に“素通り”されがちなことが地域の課題となっている
「塩尻は明治期からブドウの栽培が盛んな“ワインとぶどうのまち”。また、塩尻に隣接する朝日村、山形村を含めた一帯には道祖神が点在し、そばの里としても知られるなど、見どころも多い。ただし、エリア内の移動手段がクルマ中心で、何気ない景色は見落とされてしまうのが課題でした。
そこで推進協議会では昨年8月からシェアサイクルをエリア内で始め、地元の方やツーリストが自転車移動を選んで、クルマよりのんびり周遊できるようにしました。インフラ整備の次のステップとして実施する今回のワークショップは、自転車で訪れたくなる地域の魅力を掘り起こすのが狙いです」と話す。
街の「解像度」をあげて推しを見つける
11月の週末、2日間にわたって各市村で実施されたワークショップは、マップ作りに必要な知識を身につける「レクチャー」と、実際にフィールドワークやマップ制作を行う「実習」の2本立て。1日目は「インプット&探検」、2日目は「マップ作り」で、実践しながら学びを深めていった。ワークショップ1日目は、街を観察する人の“解像度”をあげることを目標にレクチャーを行った。地元の良いところは、長く住むほどに気づきにくくなるけれど、「街の見どころ」イコール「観光名所」ではない。レクチャーでは一見すると何もない里山の写真を例に、「この景色は縄文時代からほぼ変わってないと聞くと、どう感じる?」と解説。五感を通して発見する細部のおもしろさや、立ち止まりやすい自転車的な移動速度でこそ見つかる魅力などを参加者に伝えた。
2日目は、いよいよマップ作り!前回決めたテーマに沿って各自の「推しマップ」を2時間で作成した。山形村のテーマは「おいしい/かわいい/色」、朝日村のテーマは「道/花/写真」、塩尻市のテーマは「ぶどうと郷土料理/デートスポット/えん(塩・円・縁)」とそれぞれの地域性が垣間見える内容。推しポイントの魅力を短い言葉で的確に伝えるため、紹介文の書き方のレクチャーも行い、地図のクオリティも高めていった。
参加者からは「毎日見ている景色の魅力に気づいて新鮮」「ほかの推しマップを参考に街をめぐりたい」「クルマだと気づかない“音”も発見できた」との声があがり、地図作りを通して街のおもしろさを再発見し、共感しあう時間となった。
紙面掲載日:2024年1月19日
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