連載

Winter2024

no.60

WEB掲載日

2024年3月19日

世界の自転車ニュース no.60 はちみつの甘い香りが漂うタスマニアの極上トレイルで五感を刺激するMTBライド オーストラリア・タスマニア

text by 横井良祐(cycle編集部)

2015年、約20kmからスタートした「Blue Derby Mountain Bike Trails」。現在は全長125km以上のネットワークがあり、MTBワールドエンデューロシリーズが2回も開催される世界的なコースに成長。
Instagram:@bluederby

「Blue Derby Mountain Bike Trails」はオーストラリアのタスマニア島北東部の街、ダービーにある。小さな街だが、市街地を含むすべてがダービーのトレイルで、街をあげてMTBライダーを歓迎する雰囲気が漂う。トレイルに集うのは家族連れ、先生の引率で訪れた学生たち、経験豊富なシニアとさまざまで、最近は女性やファミリー層の人気が高いとか。

「Blue Derby Mountain Bike Trails」。タスマニアからはもちろん、豪州本土から定期的に訪れる人も少なくない。

「トレイルヘッド」と呼ばれるトレイルの入口には更衣室や洗車場があり、その隣のパンプトラックでウォーミングアップを終えたライダーたちは、それぞれのレベルに合ったトレイルを選び、山の中へ姿を消していく。初訪問の我々は、ビギナー向けの「EASY」コースを選び、緑色のサインを目印に走り出した。

しかし実際は、そこそこ大きなアップダウンでスピードが乗り、バームというすり鉢状のコーナーが点在。「本当にEASY!?」という印象を受けるテクニカルなコースだった。
トレイルを走って実感したのは、自然の大きさと奥深さ。山の高みへ、そして奥へ奥へとペダルをこぎ進めることがまったく苦にならないほど気持ちいい!下りもスピードに身を任せて一気に行きたいところ、景色の良いポイントで思わずMTBを止めてしまう。

また、特筆すべきは“匂い”。タスマニアはラベンダーが有名で、トレイル周辺にも野の花が多数生息するが、常にはちみつのような甘い匂いにあふれていた。嗅覚が刺激されるMTBトレイルなんて初めての経験だ。

トレイル入口のパンプトラックでウォーミングアップ!

ダービーがかつて鉱山の街だったことを伝える痕跡たちも印象的だった。トレイル脇にはていねいに積み重ねられた石垣、さびたまま放置された大きな車輪や機械、さらにトレイルではあまり見かけないトンネルまである。各トレイルの名前もRelics、Axe Heads、Detonateなど鉱山に由来するネーミング。街の歴史がこの場所にいまも息づいていた。

私たちは3日間たっぷり、ダービーのトレイルライドを楽しんだ―いや、楽しませてもらった。MTBで旅をするといつも感じることだが、「私たちが走っているのではなく、走らせてもらっている」という気持ち。さて、次は、どの国の大自然に遊んでもらおうか。土産に購入したタスマニア島のはちみつの匂いを嗅ぐたび、ダービーの偉大な自然を思い出し、早くも次の旅へと、想いが走り出す。
 
紙面掲載日:2024年1月19日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
関連記事