連載

Autumn2023

no.59

WEB掲載日

2023年12月25日

世界の自転車ニュース no.59 ジャカルタ発。自転車のコミュニティを盛り上げるZINE『Gowezine』 インドネシア・ジャカルタ

text by 石川あき子(Calo Bookshop & Cafe)

創刊号の表紙と、Gibranos氏が営む南ジャカルタの自転車店「House of The Rising Sun」での創刊イベントの様子。

インドネシアの首都ジャカルタがおもしろくて通い始めてから、もうすぐ10年。縁あってジャカルタの独立系出版社の本もあれこれCaloで売らせてもらうようになりました。その中でも一番お世話になっている出版社「Binatang Press!」から2021年に登場した自転車ZINEが『Gowezine』です。

大混雑だったカーフリーデーはパンデミック後、屋台出店がなくなり、ゆったりめに。

ジャカルタは、クルマとバイクでぎちぎちの自転車には厳し~い街。でも毎週日曜の朝に中心部の目抜き通りを通行止めにして開催されるカーフリーデーでは、コロナ以前から自転車好きの人たちが思い思いに愛車を走らせていました。ストイックに走るだけではなく、ヘルメットをカスタマイズして仮装したり、走りながら音楽を流すDJライダーがいたりと楽しい雰囲気で、旅行者ながらに「自転車、盛り上がってるな~」と感じるほど。
その後、パンデミック突入からの厳しいロックダウンを経て、ジャカルタにもついに自転車ブームのビッグウェーブが到来!この機をとらえて、ジャカルタの伝説的な自転車オンラインメディア「Woof」の創設者でもあるヴィジュアルアーティストのGibranos氏と、Binatang Press!の自転車好き編集者がタッグを組み、『Gowezine』のプロジェクトがスタート。

DIYなどの実用テクニック、おすすめサイクリングコースといった定番コンテンツだけでなく、エッセイやアートワークなどの創作も多めで、ちょっと文芸誌っぽさもあります。これは、サイクリストはただ自転車に乗るだけではなく、自分自身のクリエイティビティでシーンを開拓し、楽しみを発見していこう、という編集チームからのメッセージ。

最新の第3号は自転車と音楽がテーマ。自転車・ギター対決も!

Binatang Press!が所有するリソグラフ印刷機(日本の理想科学工業製。版画のような多色刷りのZINEやポスター作りができ、世界的に人気)から生み出される、クールなグラフィックとDIY感が共存するデザインもユニーク。自転車×カルチャーを軸にした編集は、本紙cycleとも通じあうポジションなんです。

そしてなんとBinatang Press!は、10月28日・29日に大阪市内で開催されるZINEイベント、「KITAKAGAYA FLEA & ASIA BOOKMARKET」と「ZINE DAY OSAKA」の両方にインドネシアから出展。『Gowezine』だけでなく、ジャワ島横断自転車レースをテーマとした新刊もお目見えします。お楽しみに!
 
紙面掲載日:2023年10月27日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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