特集

Summer2021

no.50

WEB掲載日

2021年8月20日

特集「自転車、ヨガ、太極拳」
心地よい場所へ走って、
カラダを動かそう

リモートワークや外出自粛など、さまざまな理由で運動不足気味の体をどうにかしたい、2021年の夏。今回は、サイクリングの前後や休憩に取り入れたい「ヨガ」と「太極拳」の簡単なワークをプロに教わった。レッツ・トライ!

自転車でサッと行ける河川敷でワーク中のYOKO.T先生。「深い呼吸を意識してやってみて」。
自転車でサッと行ける河川敷でワーク中のYOKO.T先生。「深い呼吸を意識してやってみて」。

リモートワークや外出自粛など、さまざまな理由で運動不足気味の体をどうにかしたい、2021年の夏。
今回は、サイクリングの前後や休憩に取り入れたい「ヨガ」と「太極拳」の簡単なワークをプロに教わった。
景色の良い公園や河川敷に出かけてやってみるもよし、朝活や仕事の合間のリフレッシュにも。レッツ・トライ!

YOKO.T先生が提唱するのは、従来のヨガを解剖学の観点から発展させた「骨格を整える」独自のヨガ。歪んだ骨格のままトレーニングを行うと、そこに筋肉がつき、体が歪んだ状態で固まってしまう。そこで今回は、筋肉をほぐして体をゆるめ、骨を本来の位置に戻すことを目的とした3つの動作を教えてもらった。また、サイクリング中も「背骨が主役、腕や脚はそれぞれ独立した脇役」と捉え、体を動かして。可動域が広がって、パフォーマンスの向上が期待できる。

教えてくれた人YOKO.Tさん

京都市北区で「yoga space STANDPOINT」を主催するヨガインストラクター。スポーツバイク歴は20年目。YouTubeチャンネル「YOGATUBE」も好評! kyoto-yoga-standpoint.amebaownd.com

体幹を目覚めさせるワーク

前傾姿勢が多いサイクリングでは、腹部が縮こまりがち。走リ出す前に、まず肋骨に張り付いた胴まわりの筋肉をほぐし、体幹をしっかりストレッチしよう。うずまきを描くような足の動きは、ぜひ動画でチェックを。

①体の中心を意識し真っ直ぐ立つ。両腕をクロスし、腰の上に当て、腹囲の筋肉を上に引き上げる。
②右足を後ろから前へ円を描くように回し、後ろで下ろす。遠心力によって足が自然な位置で安定する。
③両腕を真っ直ぐ上に伸ばし、掌を合わせる。腸腰筋がしっかり伸びているか確認。反対側も同様に。

kyoto-yoga-standpoint.amebaownd.com

肩甲骨のリリースワーク

巻き肩になりがちな肩周りの骨を正しい位置に戻そう。腕が肩から独立して動くようになり、肩甲骨や首への負担が軽減する。試しに右側を行った後で両腕の長さを比較すると、右腕だけが伸びていることに気づくはず!

①右腕を左手で軽く握り、筋肉を外側に回して、腕全体をまんべんなくほぐす。その後、右鎖骨の端と肩の付け根部分を左手で軽く押さえる。
②顔は左に向け、掌を上にし、右腕を上下に約5回ゆっくり動かす。肩に違和感がある場合は、できる範囲でOK。
③次に右腕を前後に約5回ゆっくりと動かす。肩甲骨まで大きく動かすのがポイント。反対側も同じ動きを行う。

背骨をリリースするワーク

サイクリングの後は、ガチガチにこわばった背筋をしっかりほぐそう。背骨の関節を一つずつ押さえてリリースすることで、腰から首にかけての疲労がぐっと軽く。日常的に行えば、自然に体幹が意識できるようになる。

①背骨の一番下の関節部分に、両手の親指を当てる。軽く力を入れて押すようなイメージで。
②指を当てた部分に意識を集中し、ゆっくり息を吐きながら、上体を横へ倒す。
③肩の位置を水平に保ちながら、体を後方にねじる。体がストレッチを感じる程度でOK。

(左)背骨の分節(関節と関節の間)を一つずつ、下から上へ押しながら、左右同じ動きを繰り返す。
(右)指が届かなくなったら、無理しないでストップ。次は上から腕を回して首に掛けて分節を押す。

洲濱先生が取り組む「楊名時(ようめいじ)八段錦・太極拳」は、人と競わず、自分の健康のために行う太極拳。一つひとつの動きに深い呼吸を合わせた、ゆったりとしたワークが基本となる。足の裏で大地をしっかりと感じながら、呼吸で血流をすみずみまで巡らせ、心と体のバランスをとろう。「動きの中で自分の中心を意識できるようになると、サイクリング中の体幹の捉え方も変化しておもしろいです」。

教えてくれた人洲濱紀子さん

楊名時(ようめいじ)八段錦・太極拳の師範として大阪を中心に活動。楽しむことで健やかな好奇心を育てて健やかに成長するがモットー。YouTubeラジオ「無茶空茶の時間」でも発信中。

ロウシアオブ(楼膝拗歩)

ゆっくりと呼吸しながら足のストレッチにもなるワーク。腕を広げたり、前に出したりしながら重心移動を行い、体の動きに呼吸を合わせていこう。手や足は伸びしろを少し残して、伸ばしきらないのがポイント。

①左足を前に、足を前後に開いて立つ。右足に体重を乗せて左足を伸ばし、両腕を肩の高さに広げる。
②重心を後ろから前に移しながら右手を前へ押し出す。左手は左膝を払う動作。息を吐きながら行う。
③右手を前に出しながら重心も前へ。右足をストレッチ。左右入れ替えて動作を繰り返す。

気功法

「八段錦」という気功法からの1ワーク。ゆったりとした呼吸をして気を巡らせ、内臓を整えていく。何度か繰り返すうちに自然と呼吸が深くなり、縮こまった体が開いて本来の動きがしやすくなる。

①足を肩幅に開いて立ち、お腹の前で手の指を組む。息を吸いながら、腕をゆっくりと上げていく。
②肩のあたりで掌を返す。指を組んだまま、息を吐きながら掌を地面に向けて下ろしていく。
③再び息を吸いながら頭上まで手を上げる。腕を伸ばし切る手前で吐きながら両側へ手を下ろす。

スワイショウ(甩手)

心を鎮め、体の疲れをとる中国古来の健康体操。背骨と腰を中心に腕を左右に振るだけ、というシンプルなワークなので、サイクリング後など、思いついたときに取り入れたい。習慣づくと、肩や腰の動きがなめらかに。

①両足を肩幅に開き、軽く膝をゆるめて、ゆったりと立つ。腕は力を抜いて両側に自然に下ろす。
②体の軸を意識しながら腰から上だけをひねり、腕を左右に振る。腕は肩からぶら下げておこう。
③左右往復40〜50回くらいを目安にやってみよう。最後はだんだん動きを小さくしておさめていく。

text by 足立知子、杉谷紗香
紙面掲載日:2021年7月21日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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