世界の自転車ニュース no.54 BMXとともに中東へ。2年越しに肌で感じた世界最高峰の舞台 「サウジアラビア・ジッダ」
text by 吉田尚生(BMXアーティスト)


『FUZION』公演の舞台裏にて。 写真:Marie-Andrée Lemire
1度目は、2018年から約2年に渡って参加した『VOLTA』のワールドツアー。世界各国を巡って公演していたが、新型コロナウイルスのパンデミックを受けてツアーが中止に。苦い思いで帰国した僕にとって、今回の舞台は待ちに待ったものだった。
『FUZION』は劇団創設者の2人を主人公にした演目。シルク・ドゥ・ソレイユを代表する作品をコラージュ的に織り込みながら再構築したもので、劇団の歴史を伝えるようなストーリーとなっている。また、ラマダン(断食月)が明けたことを祝う国を挙げた祭り「ジェッダ・シーズン2022」の一環として公演されることもあり、僕の知る限りではシルク・ドゥ・ソレイユで最大規模のステージだ。

中東の民族衣装、トーブをまとって愛車とともに。オフの日に訪れた砂漠にて。写真: Nao.Yoshida
そして、いよいよ舞台初日の本番。約3,000名が見守るステージへBMXにまたがって飛び出した。スポットライトを浴び、観客の視線が僕一人に集まる。練習を重ねたパフォーマンスを披露し、歓声を耳にした瞬間のゾクゾク感! やっとこの舞台に戻ってこれた……という感動で胸がいっぱいになった。
6月上旬、約1か月間の公演を終えて日本へ帰国。振り返ると、手応えよりも「もっとこうした方が良かった」と反省ばかり。1か月じゃ足りない、もっともっと乗りたかった! BMXが僕を世界へ連れ出してくれる。次はどんな景色を見せてくれるだろう。
紙面掲載日:2022年7月28日
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