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Summer2022

no.54

WEB掲載日

2022年11月15日

サイクルおすすめBOOK 米自転車界のカリスマによる熱いヴェロソフィ(自転車哲学) 「[新版] ジャスト・ライド─ ラディカルで実践的な自転車入門」 p-vine.jp

text by 越智政尚(「本の轍」ショップキーパー)

もし、君が生粋のロードレーサーならば、本書を読む必要はない。アンレーサー(レースをしない人)であれば、自転車生活を楽しむ最良の指南書となるだろう 。

ロードバイクの利点は、楽に速く目的地に着けることに尽きる。一日の時間は有限だから、速く走れることは、同じ時間で遠くまで行けることを意味する。そのために自転車は軽く、乗り手はピタピタのウェアをまとう─。ライディングの手本は、ツール・ド・フランスを走るようなプロだ。
 

「[新版]ジャスト・ライド─ラディカルで実践的な自転車入門」
グラント・ピーターセン 著、沼崎敦子 訳、BLUE LUG 協力
1,980円 税込(Pヴァイン)

しかし、多くの自転車乗りにとってそれが正義とは限らない。著者のグラント・ピーターセンは元々、レーサーだったけれど、自転車界が自身の志向するバイクとかけ離れてしまったことをきっかけに、自転車ブランド「リヴェンデル」を立ち上げた。

「この本で伝えたいのは、バイクライドの素晴らしさを半減させてしまうレースの影響を捨て去ることだ」と説く本書は、過激で痛快。いままでの常識をくつがえす自転車入門ガイドとなっている。自転車は、もっと 自由でいい。“ジャスト・ライド”は生き方でもあるのだから。
紙面掲載日:2022年7月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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