マディソン突撃レポート! no.49 メッセンジャーのお祭りへ 今回は、昨年11月19日に横浜で初開催されたメッセンジャーの日本選手権「JCMC(Japan Cycle MessengerChampionship)」のレポートをお届け。元メッセンジャーでもあるマディソン曰く、「絶対に見逃したらあかんイベント!」と気合い十分。熱戦の様子を取材した。

text by マディソン(ライター)

「Go! Go!」とデリバリーレースに声援を送るマディソン。日本中から来た出場者で大熱戦!

街を駆ける自転車便、サイクルメッセンジャーの世界選手権「CMWC(Cycle MessengerWorld Championship)」が今年、横浜で開催される。その前哨戦として初めて行われたのが国内メッセンジャーの大会「JCMC」。朝9時すぎ、会場の横浜赤レンガ倉庫に到着してすぐ会った大阪メッセンジャー組は、「朝6時からコース作りに取りかかっていた」と言う。レースが始まる前からボランティアって!一大イベントをみんなで支えよう、という強い心が込められている印象をもった。

大阪メッセンジャーの岡橋さんとマディソン。「レース中にMAPを見やすいように」と工夫をこらしたバイクで、デリバリーレース6位入賞、頭脳戦で大健闘!

朝一番、10時スタートのレースは「カーゴバイクレース」。大きな荷物に適したカーゴバイクを使ったレースで、ビールの樽や大きな箱、とんでもない荷物をポイントごとに積み込んでゴールまで運ぶ内容だ。真剣さもありつつ、観戦しながら心のどこかで笑ってしまう。なぜなら、びっくりするような荷物をあずかる話は“メッセンジャーあるある”。それでも一生懸命に、慎重に、すばやく届けるのがメッセンジャーらしいと感心する。

赤レンガ倉庫に映えるTWINS BMXのパフォーマンス。大人も子どもも拍手喝采!

メインイベントは13時からの「デリバリーレース」。大阪メッセンジャーの岡橋知宏さんは、会場マップをラミネートした上に、スマホホルダーも組み合わせて、ハンドルに地図をセットできるように工夫していた。レースに勝つつもりで走る人は、さすがみんな“脚より頭”だ。レースが始まる前にキッズエリアをのぞくと、双子のプロライダー・吉田兄弟(TWINS BMX)による世界レベルの技を生で観戦でき、BMXスクールではキッズが技の上達に奮闘している様子を見られた。

シャボン玉を追いかけてTOP&GOを自然と身に付ける「デンマーク式じてんしゃゲーム」。家族みんなが楽しめるコンテンツが多めで、うれしい!

続いて実施された「デンマーク式じてんしゃゲーム」は、より小さい子どもが対象で、キックバイクにまたがって地面に置かれた輪を拾ったり、シャボン玉を追いかけたりと、自転車操作のスキルを磨いてくれるゲームに夢中。そもそも会場の赤レンガ倉庫周辺には観光施設が多く、家族連れで遊びに来ても大満足だ。

歩行者横断エリアで“一時停止”。コースは石畳で、かつて横浜港と東京駅をつなげた廃線跡が貫くので細タイヤの選手は要注意。

さて、注目の「デリバリーレース」が始まった。自転車配達のプロの仕事を近くで見るのは、とにかくおもしろい。レースには誰でも参加できるけど、勝つにはやっぱりメッセンジャーの“頭”が必要。マニフェスト(配達オーダーリスト)にある荷物を、いかに速く、効率良く、どうやって届けるか?

コース内にはメッセンジャーの普段の仕事をリアルに再現した仕掛けもあり、自転車にカギをかけないと行けないポイント、横断歩道で歩行者を待つポイントなども点在。急ぎの荷物を抱えているのに「待て」がかかると、「またか?」「急げ、急げ」とジリジリ待つしかないメッセンジャーたちの気持ちがよくわかる。みんな必死で、みんなカッコ良かった!
JCMCを観戦してすごした1日が終わった瞬間、今年の家族旅行の行き先はCMWC横浜に決定した。世界レベルで活躍する選手のパフォーマンス、プロ意識へのあこがれ、メッセンジャーつながりのコミュニティとアイテムと......楽しみ方は無限大。世界中から「Go! Go!」とデリバリーレースに声援を送るマディソン。日本中から来た出場者で大熱戦!集まる選手たちと“祝祭”を楽しみたいな!
 
紙面掲載日:2023年1月20日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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