[コラム] 元メッセンジャーかく語りき ① 「3人のあの頃と、いま」 元メッセンジャーの自転車店スタッフが、メッセンジャーへの想いを自由に語る特別コラム。1本目は、東京の人気ショップ「BLUE LUG」の3人。それぞれメッセンジャー時代からお互いを知る仲。

10代の頃に目にしたトラックバイクカルチャーの衝撃。その要素の一つに、メッセンジャーという仕事人たちがあった。さまざまなジャンルの人間が集う謎めいた彼らに強烈なあこがれを抱き、自作のバッグを背負いながら怪しいレースを観たあの日。

気が付けば自分もメッセンジャーの輪の中に入り、いつしかその輪を離れて自転車屋に。あの楽しく、イカした仕事人たちを語る側になった。僕にとってメッセンジャーは、忘れられない最高の思い出だ。
(金子聡/BLUE LUG幡ヶ谷店)
前回、CMWCが日本で開催された2009年の「CMWC 2009 Tokyo」の時は、まだメッセンジャーではなかった。レース会場へ行ったものの「自分はメッセンジャーじゃないから...」と、結局エントリーはしないまま。

数年後にメッセンジャーになり、2012年の「CMWC 2012 Chicago」には出場したが、「なぜ自国開催の時に出なかったんだろう」と、後悔したままメッセンジャーを辞めてしまった。それから約10年、再び日本で開催されるとは。もうメッセンジャーとしては参加できないけど、やっと心のモヤモヤが晴れる!

もし、当時の僕と同じように「メッセンジャーじゃないから」とエントリーを迷っているなら、絶対出たほうがいい! レースは誰でも出られるし、メッセンジャーのみんながやさしく迎え入れてくれるはずだから。
(ダンカン/BLUE LUG幡ヶ谷店)

メッセンジャー時代の写真。「何の写真か覚えてないけど、3人ともこの中にいるはず」(アサヒ)。

メッセンジャーは不思議だ。メッセンジャーを言葉で表現することは、僕にはとても難しい。メッセンジャーを辞めて10年近く経ち、その間に結婚し、子どもが産まれて、23区外へ引っ越した。当時からは大きな変化だ。

いま、僕はメッセンジャーの世界にはいない。けれど、昔一緒に働いていた仲間や現役メッセンジャーに会う時、いつどんな状況でも変わらない仲間というか、家族みたいな感覚になれるのが、メッセンジャー同士の不思議なサムシングだなと思う。

何より、メッセンジャーの世界にいるとかいないとかどうでもいいと思ってきたし、いまでも自分をメッセンジャーだと思っている。 
(アサヒ/BLUE LUGオンラインストア)
書いてくれた元メッセンジャー

 

BLUE LUGの元メッセンジャーたち
写真左からアサヒ、金子聡、ダンカン。元メッセンジャー仲間であり、いまは仕事仲間としてともに働く。

BLUE LUG bluelug.com

紙面掲載日:2023年7月28日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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