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Spring2021

no.49

発行日

2021年4月23日

世界の自転車ニュース 49/安全な自転車走行環境を! 子どもたちの訴えるデモがドイツ100都市で同時開催

text by 小畑和香子(ライター/フランクフルト在住)

「自転車だけの街は、子どもたちにやさしい街!」「もっと安全な自転車の道を!」。ドルトムントのキディカルマスの様子。子どもにとって安全な自転車環境の確保を訴えた。写真:Sebastian Peter

「自転車で子どもたちが一人で安全に走れる街を!」―。これは、昨年2020年9月下旬の週末、ドイツ全土と欧州数都市で開催された子どもメインの自転車デモ「キディカルマス(Kidical Mass)」のモットーだ。呼びかけ人は、ケルンでこの自転車デモをオーガナイズする、子どもを3人持つペア。持続可能な交通への転換が広く訴えられる一方、2019年のドイツの新車登録台数は増加した。中でも幅が広く車高の高いSUVの増加に、子どもをもつ家族は危機感を募らせる。ケルンの二人の呼びかけに応じる街は膨れに膨れ、最終的には大小100都市が賛同。協賛団体は160に上った。人口370万人のベルリンでは10地区での開催となり、初めて合計110か所のキディカルマス同時開催にこぎつけた。

ケルンの様子。道路の真ん中を愛車で走る小さな参加者。次世代のための自転車政策を求める声が、ドイツ100都市での初の同時開催へとつながった。 写真:Stefan Flach

キディカルマスは元々、アメリカ発のアクション。ドイツでは2018年以降、自転車と子どもにやさしい交通政策をより一層訴えるため、ベルリンやケルンなどの街で市民有志によって行われ始めた。道路交通法にのっとり、自然発生的に行われるクリティカルマスとは異なり、事前にルートを固定してデモを申請し、当日は警察のエスコート付きでの開催となる。コロナ禍以前より、春から秋にかけて月に1度、キディカルマスを催す街がすでに30ほどあったが、今回の呼びかけを契機としてオーガナイズに乗り出す街が激増した。
当日は新型コロナウイルス感染予防対策の元、各街で数十人から数百人規模のキッズライドを決行。大人と子ども合わせて約22,000人が参加したデモとなった。保護者が子どもをクルマで学校へ送迎せず、一人で送り出せるような道は、シニア世代まで安全な道だ。普段とは異なり、道路の中央をのびのびと走る子どもたちの姿に、大人たちは、次世代のための自転車政策は急務と問う。