世界の自転車ニュース no.50 南豪の大自然の中で 子どもとの時間を楽しむアデレード的スローライフ 「オーストラリア・アデレード」

text by 半田康之(アデレード在住・Webディベロッパー)

野生のカンガルーとすれ違うことも珍しくない。親子で草を食む姿を見て思わずペダルが止まる。

南オーストラリア州、アデレードに移住して8年。今は中心部から南へ約40kmのエリアに住んでいる。今年は新型コロナウィルスの影響で中止になってしまったが、UCIプロツアーの開幕戦として世界中から一流選手が集まる「ツアー・ダウンアンダー」のステージが開催されるエリアでもある。

「ツアー・ダウンアンダー」のスタートシーン。良い意味で選手と観客の距離が近く、気軽に話したり、一緒に写真を撮ったりもできる。

実は昔、京都でバイシクルメッセンジャーを15年やっていた。時間と仕事に追われる毎日で、子どもと接する時間はほとんどなかった。南半球へ、そして都会の喧騒から離れた場所へ引っ越ししたことで、子どもたちとすごす時間が増え、休みの日以外でも子どもたちとサイクリングや釣りに出かけている。日本で都会暮らしをしていた頃とは、正反対のライフスタイル。時間に追われることもなく、自然と向き合うスローライフが楽しい。
南オーストラリア州はワインの産地として有名で、その1つ「McLaren Vale(マクラーレン・ベール)」は家から10kmほど。ここもツアー・ダウンアンダーのステージの1つとして、毎年組み込まれている。傾斜のゆるやかなサイクリングトレイルもあり、壮大なぶどう畑を走り抜けられて気持ちが良い。
 

家から5分でこの大自然!! ゆっくりとした時間の流れを感じられる。

日本だと動物園でしか見かけないカンガルー。自然に囲まれているこのエリアでは、公園、ゴルフ場、ぶどう畑などで野生のカンガルーに遭遇するのは日常茶飯事(ちなみに、オーストラリア全土では、人口の2倍のカンガルーがいる)。 週末に「近所の自然公園へカンガルーを見に行こう!」と、子どもを誘ってサイクリングへ出かける。家から5分ほどで自然公園へ到着。風の音と鳥の鳴き声以外は何も聞こえない。夢中で走り回っていたら、気がつけば家を出て3時間が経っていた。「夕飯は何にしよう? これからイカ釣りにでも行こうか?」と子どもたちにたずねた。
 
紙面掲載日:2021年7月21日
※記事の内容は紙面掲載時点の情報です
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